この施設で初めて介護の世界を経験しました。以前の職場では、お客様との関わりは少なく、もっと人と関わる仕事がしたいとの思いで転職しました。

そんな資格も経験も無い自分を、先輩方は快く受け入れて頂き、『早く一人前になりたい』と焦る私に、親切丁寧に時間を掛けて大事に育てて頂きました。

新人として、初めて担当のユニットに行った時のことですが、仕事の説明を受ける間もなく、『ご利用者様と楽しくお話しをして、仲良くなって下さいね。』といきなり言われ、大変戸惑いましたが、楽しんで頂けそうな話題を必死に探して、お話しさせて頂きました。何日か過ぎると、お一人お一人のお名前、ご性格、特徴等、自然と覚えられ、またこちらの顔も覚えて頂き、少し親しい身近な存在になれた気がしました。

介護の基本は、利用者様お一人お一人を尊重し、その人らしい生き方をサポートすることで、その為には、ご利用者様を徹底的に観察して、関係性を深めた上で、様々な介護スキルを学びながら、日々の介護に生かして行くことが大切で、先ずは、家族の様な近しい関係を築き上げることに時間を掛ける、という施設の教育方針に沿ったものでした。

入職して、即戦力として、詰込み式に知識を教え込まれる施設も多いと聞いていますので、ゆっくりと時間を掛けて、介護の基本が身に着くように指導育成して行くという施設の方針は、私の様に初めて介護に従事する方には、とても心強いと思います。

ご利用者様のお世話をさせて頂いた時、とても喜んで頂けたり、ご満足頂けて、安堵の表情を浮かべられたり、満面の笑みで感謝のお言葉を返して頂けたり、未熟な自分が、人生の大先輩であるご入所者様の心穏やか日々を、少しでも支えることが出来、お役に立てているのだと言う、この仕事だからこその充実感、やりがいを感じます。

当施設では、ご利用者様が沢山笑顔でいられるよう、レクレーション行事に力を入れていますが、介護する側も一緒に笑顔で取り組める楽しい企画が沢山有り、特に納涼祭は、職員全員とボランティアや地域の方と一緒に取り組み、やり遂げた時の達成感は格別のものです。

私をはじめ、20代から30代の若いユニットリーダーが比較的多く、皆仲が良くて、お互い遠慮なく意見を言い合え、意欲的で前向きに取り組んでいける雰囲気がとても良いと思います。

勿論、介護経験の長いベテラン職員の方も多数いらっしゃいますので、気軽にアドバイスが頂けて、大変心強いです。

日々の介護では、様々なご利用者様に、様々な場面で、『その人らしさを尊重するにはどうしたら良いのか? 』常に自問自答しながら取り組んでいるので、自然と介護力が身につく職場の雰囲気だと思います。

私が初めて勤めた所は、従来型の有料老人ホームでした。１００名近くの入居者様の観察や介助で、入居者様と話す時間は５分もありませんでした。　　何か頼み事をされても、時間も、自分の心の余裕も無く、『少しお待ち下さい』を繰り返し、悩んでいました。

ここでは、１ユニット１０名、１フロアでも２０名と少なく、一人一人しっかり丁寧に、自分自身が納得のできる介助が出来ます。

更に、平日はレクリエーションがあり、入居者様と楽しく接する時間も多く、はしゃいだり、真剣な眼差しでゲームに取り組んだりと、入居者様が、普段見かけない思わぬ一面や表情を発見できる、それが勤務中のひとつの楽しみです。

ご入所当初、初めて見る場所や人など、慣れない環境で生活されることで、不安や戸惑いの表情を見せられる入居者様が、心から寄り添う気持ちでお世話をさせて頂くうち、少しずつ信頼して下さるようになり、『ありがとう』『あなたが居てくれて良かった』と感謝のお気持ちを頂けた時ですね。　何とも言えず心の底から嬉しい気持ちが溢れ出て、一番やりがいを感じる瞬間です。

施設全体のレクリエーション行事に力を入れていて、他のユニット職員と関わる機会が多い為、職員同士とても仲が良く、多くの情報をスムーズに共有できることから、他部署との連携が取れ、問題点は全員で考え、改善していく雰囲気が気に入っています。

勤続年数が長い方も多く、働きやすい職場だと思います。

ワイン、チーズ、はちみつと食品の専門職から、母の脳動脈瘤の手術を機に介護職に対する思いが強くなり、自身の親に介護が必要になった場合ににわか知識ではいられないと思い、何事にも本気で取り組みたい性格な人間なもので思い切って転職をしました。

接客業に20年以上携わっておりましたが、介護業界では言葉では伝えきれない入居者様も多く、その難しさに正直戸惑いました。 最初の私には出来ることは、笑顔で声がけをすることしか出来ませんでした。

この人は安心と思ってもらえたらと。ただ、そう簡単にいく訳もなく、一人一人の生活環境を先輩方から細かく教えて頂きながら、一日をどう過ごされているのかを自分なりに理解していきました。それは理解するだけでなく、自身での納得が必要でした。

理解と納得の繰り返しです。

そして、言葉では伝えきれない心を肌で感じ、毎日繰り返していくことで、笑顔が少しでも増えていっているのかなと思えるようになってきました。

また、高齢者の生活の中には我々には気づきにくい危険がたくさん潜んでいることにも目を向けて、先へ先へと物事を考え、言葉で伝えきれない体調などの変化にいち早く気づき、 まだ始まったばかりかも知れませんが、まずは経験をしっかりと積むことで、人の心はマニュアルには当てはまらないからこそ、日々の業務の大切さとやりがいを非常に強く感じています。

経験をしっかりと積んで、入居者様にも職員にも信頼される存在になっていくことが継続的なやりがいに繋がっていくと思っています。

現実的には日々生活を続ける中、ちょっとした表情の変化に心配になる事もありますが、自然で穏やかな笑顔から何とも言えない暖かなパワーをもらっています。 その穏やかな表情には積み上げられてきた人生から伝わってくる安心感もあります。 その穏やかな表情を一日も長く、幸せに過ごせるよう寄り添っていければと思っています。

いままでに見たことない尊い笑顔なのかも知れません。

人生で一番幸せだった時間を思い出し、いまも幸せと思ってもらえる環境を作り上げていきたい。

入居者様を思うのはもちろんですが、穏やかに過ごして頂くには、職員が同じ気持ちを持って働かなくてはなりません。 信頼とは築きあげるもので、ただ一瞬でも信頼を崩してしまうような事があれば、それを取り戻すことは至難の業です。 だからこそ、日々の生活の中の小さな事にも気づき、対応し安心安全をもとに家族のような無償の信頼関係が必要なのだと思います。

そして、そのやりがいにも繋がるのが 入居者様一人一人の情報共有の大切さ、信頼関係をもとに日々変わっていく状況にも対応できる体制を構築していくべきと考えます。 誇りを持って働いていけることが一番のやりがいなのかも知れません。

諸先輩方の経験値の高さが1番のこの職場で良かったと思う点です。 経験豊富な先輩のもとに配属して頂いたことには感謝の思いしかありません。 いままでの仕事でも、自分自身がその筆頭で頑張ってきたなか、先輩の経験の背中はとても大切な事だと思っています。 畑違いから来た私の中で、入居者様の今まで過ごしてきた話の中には、そんな事があったんですか？という話もたくさんありました。

日々変わり続けている入居者様のこの施設での生活のすべてを教えて頂きました。

私は始まったばかりかも知れませんが、その入居者様の生活を引き継ぎつつ、入居者様を一番に考える姿勢を学び活かせる職員として誇りを持って働き、この施設らしさを伝え続けていきたいと思っている自分がいまいます。

恥ずかしながら、今までの経験をいかせるならば、どんな職でも変わらない3現主義を守っていきたいと。 現場で入居者様を現実的に見て、我々にしか出来ない事を積み重ねていきたいと考えます。

好きな言葉は「人間的魅力」。 ひとの心はマニュアルには当てはまらないからこその、今までひとに触れてきた様々な経験を活かしていきたいと思っています。